第六話『調整室にて』

「楓」
「あ、は、はい!」

 お浣腸責めにあったあの日から。
 存外体力を消耗した私は、これまでのことも含めて体力を戻すのが先だということで、穏やかな日々を過ごした。
 とはいえただ単に寝て過ごすのもあれなので、志乃さんの手伝いとして家事をこなしていたのだけど……。
 今日はいつもであれば書斎でパソコンに向かっている時間のご主人様が、私のところまで顔を出してくれた。

「これからしばらくの間、感度を上げるための処置をしようと思う」
「感度……?」

 ご主人様の言葉に首を傾げながらも、聞き覚えのある単語に記憶を探る。
 そういえばこの間の朝食のときにも、ずっと発情しているような奴隷にするって言ってたっけ……。

「首輪で常に性感を上げ続けてもいいんだが、やはり手塩にかけて育てた敏感な身体のほうが気持ちいいだろう」
「よく分かりませんがそれはまぁそうだと思います」

 確かに構造上は同じことが起こっている。
 でも、やっぱり愛撫されるのとスイッチひとつというのでは、満足度でいえば天と地の差があるもんだ。

「いうなれば天然ものと養殖もののような感じか……」
「……分かりやすいのか分かりにくいのか微妙です、それ」
「そうか。……もう遠慮はいらんということだな」
「あああごめんなさい私が生意気でしただからお手柔らかにお願いします~っ」
「……すっかり昔に戻ったなこいつ」

 呆れるように溜息をつくご主人様。
 あああつい言っちゃうんですよぅ……。

「……まぁいい。とりあえずこっちにこい」
「はい……」

 やれやれといわんばかりの背中を追いつつ、以前の調教部屋とはまた違うドアへと近づく。
 ……いったいいくつ部屋があるんだろうか。
 ドアを開けくぐると、そこには真っ暗な空間があるだけだった。

「志乃、電気つけてくれ」
「了解ですー」

 パチンという音と共に電気がつけられるけど、それでもまだ十分な明るさとはいえない。
 その薄暗さのせいか見た目以上に手狭な印象を受けた。

「この部屋は……それに、椅子……?」

 こじんまりとした部屋の中心には、分娩台のような椅子。
 その周りには細々とよく分からない機械が囲むように並べられている。
 そしてなにより目を引くのが大小さまざまな大きさのアームで、まるで人造人間でも作るのかといった感想を抱かせた。

「こいつをどう思う?」
「すごく……怪しいです……。ってそんなこと言ってる場合じゃないでしょう」
「乗り掛かったのはお前だろう」
「どっちもどっちですよー」

 ……えーと。

「……とりあえず座ってみろ」
「はーい……」

 言われるがままに座ってみる。
 座る……というよりは寝そべるような形で、両の脚を左右に設置された半円の台へと乗せる。
 おのずと全開になる股間部に風が当たり、今さらながら自分が全裸であることを思い知らされる。

「分かってましたけど、……やっぱり恥ずかしいですね」
「そのための台でもあるしな」

 足首と台がベルトによって固定されていく。
 お股が閉じられないのは、何というか、落ち着かない。
 恥ずかしい場所をさらしているのだから当たり前なんだけど。

「腕を上げろ」
「え? あ、はい、こうですか?」

 腕もバンザイするような形で頭の裏側へと繋げられた。
 これでもう私に身体の自由はないわけだ。
 ためしにそれぞれを引っ張ったりしてみるけど、どこも見た目どおりの効果を発揮しただけだった。

「そんなにきつくは締めてないから、怪我をすることはないと思うが」
「ひゃうっ!?」

 すすす、とおへその辺りを撫でられ、思わず身体が浮き上がる。
 それでも両手足の拘束はしっかりと私を台へと縛りつけ続ける。

「い、いきなり、びっくり、びっくりするじゃ……!」
「動揺しすぎだ……。まぁそれだけの反射で外れないようなら大丈夫だな」

 カチャカチャと拘束具を確かめながら今度は脚を撫でられる。

「ひぅっ!? あっ……くぅ……っ!」

 足裏、脛、ふくらはぎ、太もも。

「やっ……! あふっ!? ひぃっ……!」

 脇腹、おへそ、胸、鎖骨、首筋。

「も……や……おね、あっ!? うぅ……っ!」

 二の腕、手首、頬、耳、おでこ、唇。

 ご主人様の少し冷たい手が触れるたび、私の身体は氷でも当てられたかのようにビクリビクリと反応し、小さな部屋の中を拘束具の悲鳴でいっぱいにする。
 でも決してその愛撫から逃れることは出来ず、強制的に刺激を与えられる不自由さによる不快感が、痺れのように身体中を覆って、たまらず身体を暴れさせる。

「ご、ごひゅ、じ……さ……も、う……」
「受け止めて、受け入れろ」
「ひゃあああっ!?」

 私の股間に付いた異形、親指ほどのおちんちんが、キュッと握りこまれる。
 それだけで私は脳天が貫かれるような電流を叩き込まれ、ブリッジをするように腰を浮かせた。

「ふふ……ここが一番素直な反応をするな」
「あ……うぅ……」

 ご主人様の手が離れた後も、ジンジンと熱を感じる。
 親指大だったおちんちんも、たった一握りされただけですっかりその大きさが成人男性なみに肥大化してしまった。

「今からそんな反応していたら、もたないぞ」
「だ、だって……ひっ!?」

 今度は胸をやさしく揉まれ、肺の中の空気が全部外へと逃げ出す。
 触られなくても硬くしこった乳首が、その存在を主張する。
 ぶら下がったピアスの僅かなテンションでさえ、感じられる。

「はぅ……っ」

 来た……!
 スイッチが切り替わる瞬間。

 不快が、快楽へと変わる。
 固定され、身動き取れないどうしようもない感覚が、被虐の悦楽へと大きく針を振る。

 逃げ場のない刺激の奔流が全身に浸透する。

「入ったか」
「ひああああああっっ!!」

 ぐり、と指がおへその真ん中をえぐる。
 普段ならくすぐったさと認識する刺激は、全て過度の快楽へと変換される。

 お、おへそだけで、こんな……。

「その程度だとまだまだ一般人でも普段感じている程度だぞ」
「そ、そうなん、ですか……?」
「まぁ相手がよっぽど上手い場合だがな」
「……今、首輪は」
「何も触っていない。使っていたらそもそもの本来の目的が失われるだろ」
「そう、ですよね……」

 女性は男性と比べて皮膚感覚が敏感だっていうけど……。
 私、よく考えたらちゃんとした愛撫してもらったことないなぁ。
 いつも無理やりか、前戯なしか、そうでなくても媚薬漬けとか……。
 我ながらろくな性体験してない。
 ……ま、まぁそれはおいといて。

「常にそういう感覚を得られる身体に改造して、普段から発情状態にしておくのが今回の目的だからな」
「ちょっと怖いですけど……発情、しっぱなし……」
「いつでも俺のこと受け入れられる状態ってことだろう?」

 んー……。
 いつでも、ご主人様を受け入れる体勢にある。
 それは、性奴隷としてはまっとうな姿に思える。
 それに私は、元々そういう役目のために売られ、買われたんだから。

「……なんだか上手く丸め込まれてる気もしますけど」
「ま、あまり深刻に考えるな。俺が言うのもなんだが……。いつでも快楽に悶えてる楓は、可愛いと思うぞ」
「ちょっ! いきなりどうしたんですか!? そんなこと言われるなんて思ってないから準備ってものが……!」
「おま、素で返すやつがあるか!」

 するっと流されると思っていたのか、見たことないくらい動揺するご主人様。
 さっきも私、昔と変わらないって言われたけど。
 でもご主人様。
 ご主人様もより大人になったけど、根底は昔のままだと思うんです。

「……甘あまですねー」

 ついでに志乃さんに追撃を食らった。

『………………こほん』

 ……で、なんだっけ。

「まぁそういうことで身体中敏感になってくれ。……いろいろ弄りがいもあるし」
「急に投げやりですね……」
「目的からは外れてない」
「まぁそうですけど……なんかえっちな気分がどこかへ……」

 身体は敏感になったままだけど、なんとなく、そんな空気が薄れてしまったような気もする。

「いいさ。それならそれでやれることもある」

 怪しい笑いに嫌な予感を感じる暇もなく、ご主人様の指が脇腹へ。

「え……うひゃっ!? ひひっひっぃぃいいいっ!?」

 やめてやめてやめてぇええっ!?
 くすぐ、るのは、っだ、めだって……!
 いやあああああっ!?

「あはははああああっは!! っははあひあ!? ひあああひ! いいはああ!」

 さっきまでとは比べ物にならないほどの力で暴れまわる私の身体。
 脱臼するか、鎖が千切れるか、そんな心配をするほどくすぐったさから逃げ回るけど、心配せずとも拘束は私を放してはくれず。
 逃げることの出来ない過度の刺激に文字通り悶えまくった。

「あひっ……! はううぅ……ごふ……えほっ!」

 ご主人様の指が止まった。
 散々暴れまわったしわ寄せか、盛大にむせ返る。

「今の敏感な身体には酷だったか? まぁまさしく拷問に使われるほどに強力な責めではあるしな」
「……はぁっ! は……っも、もう……や……」
「だがくすぐったいと感じるところは性感帯になりえるとも聞く。しばらくはウォーミングアップとして楽しんでくれ」
「た、たのし……から……わらって……じゃな……。ひういいうぅっ! ああああうあ、ひああはははおあああ!!」

 ガシャン! ガシャン!
 と鎖の音が響き渡る。
 脇、横腹、果ては足の裏まで、先ほどの愛撫とは違い、意地悪く私を悶えさせるためにくすぐられる。

「やあぁああっもおううやああああはははああああぁうあぁっ!!!」

 刺激に耐えるという感情を完全に破壊され、ただひたすら波が過ぎるのを待つ。
 暴風雨のように浴びせられる刺激は鋭く突き刺さるほどで、私の身体はますますもって鋭敏な感覚を手に入れていく。

「ははああうあうああ!? っふああああ!?」

 そしてあるときを境に、得られる感覚の中にくすぐったさだけではない、明らかに性感と思われる感覚が混じり始めた。

 でもそれはいきなりくすぐったさが快楽に変わったわけではなく、くすぐるご主人様の手が私の性器を触れるようになったせいだ。

「な、なにを、おおおああっ! ひあああああっ!?」

 脇をくすぐられながら、すっかり濡れそぼったアソコをくちゅくちゅと弄られる。
 双方から発信される異なるようで似ている刺激に頭はパニック状態になり、身体は感じているのかくすぐったいのかよく分からなくなっていく。
 ただわかるのは、どちらもすさまじい量の刺激だということ。

「はふ……っ! あう……ぅ……あ……」

 笑い声を出す力もなくなり、感情を表に出すことも困難になってきた。
 今の私はただ死に掛けの魚のように、パクパクと口を開けて喘いでいるだけだ。

「すこしは刺激を受け取れる場所だと認識したか?」

 多分私の身体に言ってるんだろう。
 おかげさまで今の私にはフィルターがない状態だ。
 自分で触ったところでそれほどでもなかった脇や横腹が、今や強烈な刺激を与えてくれる。
 指でスッと撫でるだけで、文字通り飛び上がってしまうだろう。

「あとはそれを性感へと繋げていかないとな」

 文字通り空気の流れすら感じられるくらい敏感になった肌は、触れられた刺激をまるでアンプのように増大させて私に伝える。
 そこに与えられる「くすぐり」という強大な刺激。
 それを「快感」へと変換する性感帯への刺激。
 二つが合わさることによって、私が受け取る刺激の種類の境目は薄れ、どんな刺激も、一番強烈に感じる刺激に準拠する。
 そして今この場で一番強烈に感じる刺激は、性感。

「しばらく自分の身体と向き合ってくれ」
「いやっ、怖いです、これっ! やめ、いや、やああああああっ!!」

 普段ならコミカルに映る上下左右のくすぐりマシーンが、ピンクローターが、電マが、今の私には殺人兵器のように見える。

 ご主人様はリモコンを操作するだけ。
 それだけで、私への死刑執行は完了した。

▼

 キュイイイイ…………。

「ひゃがっ! ひいいっひっひゃーっ!!」

 ガチャンガチャンガチャン!!

 私以外誰もいない部屋。
 ベッドと器具と、それだけしかない、窓もなく独房のようなこじんまりした部屋。

 そこに響くのは、私の嬌声。
 身を捩れど決して解放してくれない拘束具の擦れる音。
 そして、その状況を生み出す器具が唸りを上げる音。

 身体中をくすぐる羽箒はやがて全身をくまなく撫で上げ、すっかり敏感になった肌はそれを過敏に受け取る。
 逃れられない、全身を覆うくすぐったさ、それはでも、秘部に充てられた電マの振動に呑みこまれていく。

「ひぎゅっ!? ひひゃああああっ!?」

 バカになりそうな快楽の奔流。
 それは受け取る刺激を全て飲み込み、脳の処理能力を超える。
 あまりに膨大な情報の波に頭が考えることを放棄し、一番分かりやすい『快楽』という刺激に変換する。

『受け取る刺激=快感』

 私の身体に出来上がった図式は、毒のようにジクジクと染みわたり、私を快楽地獄へと突き落としていく。

「いやああああっ! ひぐっ! いぐううううううっ!?」

 私の女の部分が悲鳴を上げる。
 流した愛液がグチュグチュと淫らな音を奏で、噴出した潮が電マの振動により小さな部屋に飛び散る。

「やああ!? とめ、とめてえええ!?」

 突き上がった快感は、しかし降りることを許されず、繰り返し繰り返し私を白い世界へと誘う。
 振り乱す手足は痺れ、まるで身体中の神経が股間に集中したような感覚を覚える。

「あっ!? だめ、でちゃうっ! でちゃっ、あ、あああああっ!?」

 ついに私の男性の部分も白旗を上げた。
 さわさわともどかしいだけだったはずの羽箒による刺激が、全身を覆う快感の波に巻き込まれ、空気の揺らぎさえ感じ取れるほど敏感になった影響によってゆるい刺激も劇薬のそれへと過剰変換する。

 びゅーっ!
 びゅるっ、びゅ、びゅっ……!

 第1射は自分でもびっくりするぐらい高く吹き上がり、溜まりに溜まった精液が尿道を擦り噴出する快感に頭がスパークする。
 その後も断続的にペニスは脈動し、腰がブルブルと跳ね上がる。
 飛び散った白い飛沫は身体のあちこちにまだら模様を描き、その感触と熱にすら身体が反応する。

「いやあああっ!? びんかんなのやめてえええええ!!」

 そして、機械は慈悲を知らない。
 射精した直後の腫れもののように敏感なペニスを、それまでと変わらない動作で責め続ける。

「……! か……はっ……!」

 これまでで一番とも言える圧倒的な刺激という信号に私の頭は考えることを放棄し、ただ身体だけが反射的にビクンビクンと筋肉を痙攣させる。
 体内にフィードバックされる膨大な快楽という情報を、少しでも外に逃がそうと身体中の筋肉が悲鳴を上げるほど暴れまわる。
 それでも、ガシリと私を固定する拘束具はそれを許さず、狂ってしまいそうなほどの刺激をその身で受け止めろと押さえつける。

「な、に……! な……ん、……で……るっ!?」

 声も枯れ、筋肉も疲労し訳も分からず涙が出る。
 そこに追い打ちをかけるように、未知の感覚がこの身を襲う。
 ペニスから噴き出す、おしっこでも精液でもない、透明な液体。
 のちに男性の潮吹きだと教えられたそれは、息を吹きかけられただけで絶頂に達してしまいそうなくらい
 ドロドロになった私の意識を吹き飛ばすには十分な威力だった。

▼

 その後、失神しながらも身体中を嬲られ続け、ご主人様が様子を見に来られた時には酷い状態だったようだ。
 扉を開けた途端広がる淫臭。サウナのような湿気と熱気。
 そして機械が止まっても痙攣を止めない私の身体。
 何度射精したのか精液まみれの身体と、床に広がる愛液の水たまり。

 そしてこの「常に発情」化の処置は、これだけで終わらなかった。

 拘束具を外された私は首輪の電撃によって目を覚まし、台を下ろされた後、まさに雲の上を歩くような感覚のままよちよちと歩きだす。
 私を誘導するために握られた手のひらの感触でさえ、快感が電流のごとく身体中に痺れをもたらす。
 ペタペタと歩く足は、床と足裏が設置するだけで膝が折れそうになる。

 そんな状態のまま私は水場へ連れて行かれ、身体を洗い流される。
 普通に使っても悶え狂いそうなほど、強烈な媚薬によって。

「一般には出回らないレベルの薬だ。この濃度で使用すれば、まず廃人だな。……心配するな。お前の場合は首輪から連続的に電流による覚醒信号を送り続けるから、安心して気持ち良くなっていればいい」

 それって安心って言わないんじゃ。
 そんな言葉も発せないほど疲弊した私の身体は、口と鼻に呼吸用のホースをつながれた後、射精を禁じるように尿道パイプを埋め込まれ、一部の隙間もないようなパイプケースの中に入れられた。
 そして10秒間、滝のような媚薬の波にさらわれ、身体に付着した精液や愛液その他汚れが押し流されていく。

「あ……!? あ、あ、あ、……!」

 これまででも、充分すぎるくらい身体は敏感だったはずだ。
 なのに、まだ上がある。まだ終わらない。
 今度は排水口が閉じ、溜まり出した媚薬がくるぶしから徐々に上へと身体を沈めていく。
 そして腰までつかったところで、鳥肌がぶわっと全身を覆い、脳が最大級の警鐘を鳴らす。

(こん、な……たえらえ、な……!)

 先ほどまでと違い、今度は隙間ない快楽が襲う。
 細胞の一つ一つが蹂躙され、とうに振り切った快感により頭の中からぷつぷつと何かがはじける音がする。

 やがて全身を媚薬が覆い、パイプケースの中が媚薬で満たされると、ゆらゆらと浮かぶ身体の感覚と相まって、すぐに方向感覚は意味を成さなくなる。

(あ、は……、……)

 きもちいいきもちいいきもちいい。
 もうそれしかない。
 まわりはなにもない。

 バチッ!
 ビリ……ビビ……!

 あ……。

 あまりの刺激に一瞬何の感覚も感じられない。
 だけどすぐに身体がビクビクと反応し、思い出したかのように頭が快感を認知し、そして負ける。

 もう……もう……。
 きもちいい。
 それだけ。

 バチン!
 バチ……バチ……!

 きもちいい。
 いく。
 いくいくいく。

 バチンバチンバチンッ!

 いくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくいくっ!

 せかいがほわいとあうとする。

▼

 そうして、私の身体は変態した。
 媚薬漬けと、刺激責め。
 刺激は、くすぐりだったり、痛みだったり、痒みだったりした。
 あらゆる刺激が与えられた。
 それを全部快感に変えた。
 常にぼやけた頭で、媚薬の沁み込んだ眼球を動かすことすら絶頂を覚えていた。
 細胞のすべてが媚薬でできている気がした。
 神経のすべてが快楽を生む装置になった。
 狂わないように守られた領域以外のすべてが快楽に呑みこまれた。

 私が正常な意識を取り戻したのは、処置が終わってから3週間後だったらしい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました