仕事を辞めた。 正確に言えば、辞めざるを得なくなった。 真面目で辛抱強く。頼まれれば快く引き受け、嫌な顔もせず、損の先に得があるのだと、そう言い聞かせて。 自分に何ができるのか。自分の役割とは。どうすれば役に立てるだろうか。何をすればいいのだろうか。 納期。報告。管理。改善。人脈構築。自己研鑽。お給料と円滑な人間関係のために、自分が持つ全てのリソースを捧げる日々。 そうやって、頑張って、頑張って、頑張って。 結果得られたものは、身体を壊し、心を壊し、ズタボロになった熾月佳織(しづきかおり)という絞りカスと。終ぞ使い道のなかった紙切れ。
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