「さて、準備も整った。拘束していくよ」
「……?」
「君?」
「……! ……っ」
「ああ、そうだね。君の場合は、知っておいた方が興奮材料になるか。なら説明しよう」
検査が完了してから数日。響は透に言われるがまま終活を行った。
両親は離婚しており、片親だった母もすでに亡くなっていた。親戚や近所づきあいもなく、友人も多くない。きっとそんな都合の良い自分だからこそ実験動物として選んだのだろうと響は理解していた。
アパートを引き払い、退学届けを出し、アルバイト先にも別れを告げた。どんどん社会的な繋がりが無くなっていく中で、透への依存度は必然的に増していった。
そして自分でできる手続きがすべて完了した後。透が呼び寄せた車に乗せられ、どことも知れない町医者の所に連れていかれ、そこからの記憶がない。
響が次に目を覚ました時には、すでに準備を終え待ち構えていた透の姿があったのだ。
黒い卵~後編~

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