【蔵出し】魔導姫~破滅の制度~

 活気と喧騒、多少の犯罪と僅かな涙の上に立つゴーゴス王国城下町。
 単なる好奇心から始まった街中散策は、3時間経っても見慣れた道に出てこないことから、いよいよもって遭難の様相を呈してきた。
 普段であれば近づかないような区域では、そこに建つ家一つひとつからして余所余所しく、同じ街に存在するものとは思えない。身体中の疲れも相まって、数時間前の勇ましい冒険心は鳴りを潜め、弱った心は表情にも表れている。

「いくら広いからって、ねぇ……」

 強がるように自嘲の言葉を漏らすが、そもそも誰に強がっているのかもよく分からない。あえて言えば、すれ違うたびに”こいつ迷子だぜ”と馬鹿にされているような、そんな被害妄想を掻きたてる周囲の住民だろうか。ふざけやがって。

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