ふりふりと揺れる可愛いお尻を眺めながら、部屋を移動する。
白くぷりんとしたお尻が揺れ動く様は、凶悪的な破壊力だ。
それに、午後の陽気麗かな赤絨毯の上、お尻の穴まで見えるその姿が実に滑稽で、加虐心がギュンギュン刺激されるから困ったもんだ。
「ここよ。入りましょう」
「りょーかい」
「わぅ……」
数ある扉の一つを開ける。
そこには、区切られた2つのスペース。
手前側、ドアを開けてすぐ目に入るのは、さっきいた部屋と見劣りしない豪奢なカフェスペース。
もうひとつは……。
「トレーニングルーム?」
「そう」
三方向鏡張りの、トレーニングスペース。
ドアを開けてすぐの部屋とはラジオブースのように区切られ、もうひとつのドアを開けて入る必要があった。
中に所狭しと置かれているのは、よくスポーツジムなどで見るような器具たち。
そのうちのひとつ、ランニングマシーンに手を掛けながら、啓子さんは悪意のない笑みをこぼす。
……本当に、迷いが無いんだなーとわかる。
「今からトレーニングの時間なのよ。……いわゆる、歩行訓練ね」
「ほこう……くんれん……」
少し、脈拍が上がる。
この状況で、歩行訓練といえば、対象はひとりしかいない。
「お待たせいたしました」
「ん。ありがとう」
タイミングを見計らったかのように、さっきの機械人形、……もとい、メイドの美弥がお茶のセットを運んでくる。
「準備するから、先に召し上がってもらっても結構よ」
「はいはい」
何を準備するんだろう……というのは、白々しいか。
家主に勧められたものを無下にするのもあれだし、素直に従っておこう。
そう思ってテーブルセットに近づいていき。
「……え」
メイドの運んできたワゴンの下段に目を奪われる。
「これ……って……」
「美弥、持ってきて」
「はい」
ひとまず客の分だけお茶の用意を終え、メイドはワゴンから”黒い何か”をズルズルと引きずり出す。
「それ……」
「あら、興味ある?」
「ラバーの……スーツ? ……でも、それにしてはサイズが……」
「ふふ。……貴子」
「……わん」
美弥がばさりと床を黒く染める。
床に広げられた黒いラバーの塊。
その上に、一瞬だけ躊躇いを見せたきぃちゃんが乗る。
肘と、膝を折り畳んだ、四つん這いの格好で。
「使うようになったのは、ここ最近なんだけどね。このドギースーツは」
やっぱり、だ。
ペットプレイ好きで、拘束好きとなれば、避けては通れない、いや、必然的にたどり着く答え。
人間性を奪う、物理的な四つん這いの強制。
その完成形の一つ、ドギースーツによる拘束が、今目の前で行われようとしてる。
「ちょっと……意外だったかも」
「ん?」
「なんとなく、拘束とかは使わないタイプなのかなって」
「そんなことはないわよ。無類の拘束好きってわけでもないけど。そのときそのときで、自分たちが一番良いと思ったことをやるだけ」
「……きぃちゃんも含め、ってこと?」
「もちろん。そもそも、あたしがこの子と出会った時だって、自縛した犬の姿だったんだから」
「あぅっ!?」
「っ!? ……それ、ほんとに?」
「ええ。今度その時の写真見せてあげる」
「うーっ!」
そう言ってコロコロと笑う啓子さんと、恥ずかしがりながら、どこか拗ねたような表情のきぃちゃん。
……きっと、嘘じゃないな。
あーあ。……そっか。
心に沸き上がった感情を零さないように気を使いながら、静かにため息をつく。
「貴子」
「……あん」
そんな自分を尻目に、準備は着々と進む。
右肘を上げて、左肘を上げて、といった具合に、ズリズリと肩口までラバーを引きずり上げ、順番に四肢を中へと収めていく。
先端にはどうやらクッションのようなものがあるみたいで、痛みを感じさせないよう配慮がされているようだ。
同様に両膝も長靴を履くようにラバーの中へ。
「んぅ……」
「……当然ですけど、考えてあるんですね、先っぽ」
「? ……あぁ。そうね。どうしても負担の掛かる場所だから。痛みを感じるのもそうだし、関節を痛めてもダメ。長期間着用ではないにせよ、低反発素材使ったり気は使ってるわ」
逆に言えば、解放されたいがための言い訳の一つが奪われるわけか。
そんなことを思う間にも、きぃちゃんの身体は黒に包まれていく。
ピッチリとしたラバーの中で両手両足を畳み込まれ、それだけでも窮屈な拘束感があるだろうに、股のあたりから引き上げられるジッパーによって、きぃちゃんとラバーはより一体感を増していく。
「んふぅ……んっ……」
ジッパーが背骨の上を走り、丸いお尻をはじめ、密着した身体の形に合わせて光沢が黒を飾る。
最後はうなじのあたりまでジッパーは上がり、顔を除いた全ての部分がラバーに覆いつくされた。
「は……ふ……」
「窮屈そう……」
「きぃちゃんの身体に合わせた特注品だからね。これがあるから貴子も太れないのよ」
「わ、わぅ!」
これがなくても太りません!
とでも言いたげな顔だ。
そんな心情を察したのか、啓子さんはよしよしときぃちゃんの頭を撫で、それでもしれっと、ジッパーを隠すように首にベルトを巻いていく。
きぃちゃんも恥じらったり切なそうだったり忙しい。
「なんのベルト?」
「簡単にスーツが脱げないようにね」
「……いや、どのみち自分では脱げないでしょ」
「気分の問題よ。ジッパーをどうにかすれば脱げるのと、ジッパーに加えベルトまで外さないといけない、どっちが被虐的か、ってこと」
「……うぅ」
「なるほど」
こういうちょっとしたことが大事なの、という啓子さんの言葉は、きぃちゃんの表情を見れば正しさがわかった。
「お嬢様、こちらを」
「おうっ!?」
「ん。ありがとう」
突然の美弥の登場に身体がビクリと反応した。
……本当にわけがわからんメイドだな。
「今度は何? そんなにたくさん」
「トッピング、かしら」
「……そこまでするんだ」
床に積み上げられた、大量のベルト。
それを、四つん這いの肘の先から、鬱血しないギリギリのところで締め上げていく。
「んっ……」
そのままでも十分な拘束力を持っていたラバーの上から、これでもかというくらいベルトが巻かれ、きぃちゃんの身体のまわりにさらなる要塞が築かれていく。
それは見た目や物理的な脱出に対する諦観をもたらすだけでなく、ほんの僅かながらも伸縮していたラバーを完全に押さえつけ、ささやかな動き代さえも奪う。
代わりに与えられるのは、さらなる拘束感と、逃れようのないテンション。
ベルトを身体中に巻き付けられたきぃちゃんは、ある種の芸術作品にも見えた。
……言い換えれば。
ちょっとずつ、ほんのちょっとずつだけど。
……きぃちゃんが人間に見えなくなってきていた。
「くう……ぅん」
ギチギチと、音が聞こえてくるくらい締め上げられたきぃちゃんは、それでも気丈に四つん這いのまま立っていた。
いや、極度の締め上げによって棒と化した四肢が、意志に関わらず自立しているだけなのか。
「次はこれを着けるんだけど……。そういえば、二人はまだ再会の挨拶もしてなかったかしら」
「すごく今更な気がするけど。なんで今?」
「いえ、ね。これ着けると、もう話すこともできないから」
「これは……?」
「んー、説明は、後でね」
そういって啓子さんが見せたそれは、……開口具、だろうか。
楕円形のフレームに、後頭部で固定するためのベルト。
ただ、普通の開口具と違うのは、内側に向かって円錐形にフレームが伸びているということ。
激しく気になるけど、ひとまず意識をきぃちゃんに向ける。
「……えーと」
「いいわよ、”きぃちゃん”」
「あ、はい。……久しぶりだね、千佳ちゃん」
いままで、犬の鳴き声しか口にしなかったきぃちゃんが、啓子さんの合図とともに、人の言葉を話した。
「う、うん。久しぶり」
「ごめんね、こんな格好で。びっくりしたでしょ?」
「それはそうだよ。突然姿を消したと思ったら、こんなところで、こんな……」
「あはは……」
少し苦しそうに、搾り出すように、でも明るく、きぃちゃんは言葉を紡ぐ。
こんなひどい扱いを受けていても、きぃちゃんはきぃちゃんだった。
自分の知っている、きぃちゃんだった。
そのことが嬉しくて、同じくらい悲しかった。
「いろんなことがあって、いろんなことを話したいんだけど……。何から話していいかわからないね」
「うん。こっちも何から聞いていいかわかんない。いろんなことが、変わって……」
「千佳ちゃんだって、変わったね。学校にいた頃は、もっと無邪気で、天真爛漫って感じだったよ? ……あ、悪い意味で言ってるんじゃなくて」
「あはは、わかってるよ。……ん、でも、そうだね。変わったよ、確かに。いつまでも子どもじゃいられないって、そう思ったから」
「そっか」
「……」
「……」
言葉が、続かない。
言いたいことは、聞きたいことは、山ほどあるはずなのに。
いざそれが目の前にくると、真っ白になる。
ただ。
ようやく会えた喜びと。
もう手遅れだという諦観だけは。
自分の中の確かな感情として響いた。
「きぃちゃんは……」
「千佳ちゃん。あのね」
迷いの中、呟いた来訪者の言葉を、きぃちゃんは力強く掻き消した。
「私は、望んでここにいる。それだけは、わかっていて」
「……っ」
ここに来て、一番の衝撃だった。
決して自分を主張することのなかったきぃちゃんが、こんなにもしっかりと、我を押し通すだなんて。
その事実だけで、膝から崩れ落ちそうだった。
「そろそろ、いいかしら。貴子も」
「わん」
「……」
「大丈夫よ。今日は夜になったら貴子は人間に戻る日だから。あたしも席を外すし、そのときたくさんおしゃべりすればいいわ」
啓子さんの、それは慰め? 気遣い?
ただどちらにせよ、後できちんと話し合える安心以上に、『今日は』『戻る』といったワードに心臓は反応した。
「じゃあ、次。貴子」
「わん」
「先に……これね」
手にしたのは、ラバーのマスク。
……顔も、覆うんだ。
人、いや、動物としての個性を奪うもの。
頭に掛かる圧迫は、拘束感をより増長させる。
より、『物体』へと近づく。
「ん……くぅ……」
少しずつ、きぃちゃんの頭がラバーに飲み込まれていく。
徐々に黒い球体が姿を現し始める。
正面に開いた穴をそれぞれ目、鼻、口に合わせ、後頭部に引き絞り、ジッパーを下げていく。
穴の開いた箇所以外は、すべて黒に覆われる。
耳も覆われ、もう聞こえづらいはずだ。
髪の毛をまとめながら、ゆっくり、ゆっくりとそれは被される。
そして。
きぃちゃんの顔は何の個性もない、
ただの『顔』という識別コードに成り下がった。
もう外部からこの物体がきぃちゃんだと判断する材料は、ない。
「ふぅっ……! んー……!」
ブルッと身震いでもしたのか、きぃちゃんの身体がグッと突っ張る。
ただ、その動きは実にささやかで、さぞかし窮屈だろうなと思う。
もう身体中全てがラバーに包まれているんだし。
どれだけ顔を振っても、圧迫感から逃れられない。
どれだけ身を捩っても、その四肢が自由を得ることはない。
自分ではどうにもできない不自由。
満足に伸びの一つも出来やしない。
主人の許しが得られるまで、ずっとこのまま。
ずっと……。
「はふ……んっ……あ……」
だけど。
きぃちゃんにとって、少なくとも精神的には、『これ』は不自由なものではないのかな、とか、やめたはずのキャラクターでそんなことを思った。
「次よ、貴子。あーん」
「あー……」
黒い球体に、赤と白の花が咲く。
身体中をラバーとベルトでギチギチに固められ、ただの『塊』と化した状態で、命令通り口を開くことのなんと無防備なことだろう。
一切の抵抗する術を奪われ、もがき逃れたい拘束の中で、あっさりと最後の希望を明け渡す献身。
進んで自らを窮地に追い込む被虐感。
内側に伸びる円錐のフレームが喉の奥に滑りこむほど、ゾクゾクとした加虐心が身体中を痺れさせる。
きぃちゃん。
もう、喋れなくなっちゃうんだよ?
苦しい、辛い、もどかしい、解いて欲しい。
そんな懇願すら出来なくなるんだよ?
それなのに、そんなに無抵抗にそれを受け入れて。
勘違いしちゃうじゃない。
……もっとヒドイことしても大丈夫だよねって。
いや。
あながち勘違いでもないのかな。
「お……あ……ぁ…………」
やがて楕円の開口具が唇の内側とぴったりくっつく頃、きぃちゃんの口はステンレスのフレームに押し広げられ、だらしなく開いた状態を強制されていた。
喉奥に伸びたフレームはどこまで入ったのだろう。
でも、たとえそれがどれだけ苦しくても、付属のベルトによって後頭部でしっかりと留められた開口具は、自らの意思では決して逃れることは出来ない。
「……っ、……っ……っ……」
それに加え、器具を装着された直後から、きぃちゃんの息が目に見えて荒く、まるで犬のそれと同じように変化した。
「……?」
同時に、どこからともなく音が聞こえる。
断続的な、金属音のような高い周波数。
訳の分からない顔をしていると、横から啓子さんが解説を入れる。
「笛よ」
「……笛?」
「今の開口具に、喉奥に入り込む形で円錐のフレームが付いてたでしょ?」
そう言って啓子さんは、もうひとつ、きぃちゃんに着けたものと同じ開口具を持って、説明してくれた。
「この円錐の先端、何が付いてるかわかる?」
「え……と、丸みのある……ん? 穴が開いてるね……なんだろ」
「これが笛なの。大きさは、この子の喉の直径とほぼ同じ」
「っ!?」
「つまり、今貴子は喉をこの笛で塞がれているわけ」
……なんて恐ろしい物を付けるんだこの女は。
さすがにこの器具の用途がわかった。
そしてその予想を啓子さんが現実に変える。
「それで、笛に開いた穴の直径も計算して絞ってあるの。今この子の息が荒いのもそのせい。常にこうやって、貪るように呼吸をしないといけない。それくらい息苦しいはずよ」
「……っ」
「それと、あなたも気づいてると思うけど、さっきから聞こえる高い金属音のような音。それは笛を空気が通った音よ。ま、笛は吹けば音がなるのは当たり前ね」
呼吸を制限される。
それは、命を預けることと、ほぼ同義だ。
生きる権利を弄ばれていると言ってもいい。
それに加え、だ。
喉から漏れ出す、キュゥゥ、とも、キィィ、とも聞こえる甲高い声。
よく聴けばそれは、子犬が発する鳴き声に似ている。
生きるために必死になって行う呼吸で、主人を喜ばせるための可愛らしい鳴き声を強制される。
こんなちっぽけな器具一つで、きぃちゃんの命は気軽に弄ばれている。
そこに自由や意思はない。
「苦しくて、苦しくて、でもそれが表に出ることなく、周囲に対しては媚びるような可愛らしい声を上げ、その裏で一人惨めに不自由と辛さを噛み締めるだけなの」
楕円のフレームは、きぃちゃんの唇を押し上げ、傍目には笑っているようにも見える。
苦しさから出たり入ったりする舌は愛嬌を振りまき、本人が感じている辛さは伝わってこない。
「そしてその辛さを和らげるため、苦痛を快楽に、辛さを愉悦に変えて、やがて加害者を支配者として受け入れるのよ」
開いた口から、涎が溢れ出す。
鳴き声は、懇願にも聞こえる。
啓子さんはとても愛しそうにきぃちゃんの顔を手のひらで包み、恋人にするそれと同じように唇を近づける。
「それはとても哀れで、間抜けで、……最高に可愛いと思わない?」
ずずず、とあえて卑猥な音を立て、啓子さんがきぃちゃんの涎を啜りとる。
苦しそうに見えたきぃちゃんの目元も、その行為に幾分か目尻を下げる。
そんな光景に、ただ圧倒されていた。
「……さて。次はこれね」
次に啓子さんが取り出したのは、Jの字の形をしたパイプのようなもの。
「これは?」
「姿勢矯正と、……ちょっとしたお楽しみ、かしら。……貴子」
「くぅぅ……」
搾り出すような高い鳴き声が聞こえる。
「力抜いてね」
身体中に巻かれたベルトとベルトの間、ラバーの股間部の、別に設けられたジッパーが開けられる。
あらわになるのは、最も隠すべき場所であるお尻の穴。
可愛らしく窄まっているそこに、ローションが塗りたくられる。
「……!」
甲高い鳴き声が、さらに乱れるのがわかる。
だけど啓子さんはそれに構わず、ゆっくりと丁寧にそこをほぐしていく。
「まさか……」
「それ以外に何か?」
不敵に笑う啓子さん。
そして正解を見せつけるように、フックを穴へと引っ掛けるように、ポールをきぃちゃんのお尻の穴へと差し込んでいく。
「キュゥゥゥ……っ!」
とびきり甲高い鳴き声が響く。
押し込まれていくポールは、ゴリゴリときぃちゃんの腸壁を削っているはずだ。
逃れようのない圧迫感に、思わず二、三歩、たたらを踏む。
「貴子」
「くぅ……くぅ……」
間髪を入れず、啓子さんの指示が飛ぶ。
返事の後。きぃちゃんは心持ち下がっていた頭を、クッと持ち上げた。
涎の糸が、キラキラと光る。
まっすぐに顔を前に向けた姿は、シャンとした犬のそれと似ていた。
その姿勢を確認した後、啓子さんはお尻に刺さったポールをさらにグイと押しこむ。
聞こえる犬の悲鳴を無視し、後頭部についた開口具のベルトの金具と、Jの字のポールの先端の輪っかとを連結させた。
「ここまで……」
「その分、効果はあるのよ。より自分という存在と立場を認識するためのね」
ポールによってお尻と頭とを間接的に繋がれたきぃちゃん。
絶妙な長さのそれは、きぃちゃんが頭を下げればよりお尻の穴を抉ることになり、視線を前にした、美しい犬の姿勢を強制する。
羞恥心から、顔をうつむけることもできない。
「今回はこれくらいでいいか」
じゃあいつもはどれだけ”トッピング”しているのか。
そんなことをちらりと思ったけど、それが誰の耳にも届くことはない。
かちゃかちゃと、先ほど外してあった首輪をまた着けられていくきぃちゃんを見下ろしながら、自分の吐息が知らず知らず熱っぽくなっているのに気づく。
ああ、今きぃちゃんはどれだけ窮屈で屈辱的な思いを味わっているんだろう。
腕は、脚は、曲げたまま伸ばすこともできず、顔は、身体は、引きつるほどに革に締め付けられ、お尻の穴を抉る棒によって姿勢までも固定される。
息苦しさに輪をかけて呼吸制御まで施され、低い視界の中、見下ろされる、醜き革でできた牝犬。
それらは、決して自分から逃れることのできない、人間の尊厳を無視した過酷な責め。
そんな彼女を、今自分は、狂おしいほど、……鳴かせてみたいと思っている。
足で小突いたら、どんな顔をするだろう。
身体を踏みつけたら、どれだけ苦しむだろう。
思いっきりリードを牽いたら、きぃちゃんは……。
どんな、気持ちで自分を見るだろう。
憎むだろうか。恐れるだろうか。
もうやめて、と、懇願するだろうか。
それとも……。
いずれにしても、そのどれもが、心地よい感情の波となって、自分に押し寄せるだろう。
ただ、その感情を受け止めるのは、今は自分じゃない。
そして、横にいる彼女、啓子さんでもなくなる。
「貴子」
「ヒゥ……」
チャリ、と音を立て、リード越しに命令が伝播する。
きぃちゃんはそれを正しく理解し、ゆっくりと、ゆっくりと、”左前肢”を前へと動かす。
「きゅ……ぃ……」
ギチギチという音が網膜と鼓膜を通じて飛び込んでくる。
ささやかな鳴き声はしかし拾うものはなく、続いて右後肢、右前肢、左後肢と、歩を進める。
その先には、ランニングマシーン。
きぃちゃんの恐れを、悲しみを、苦しみを、感情を一身に受け止める相手。
ただそれでも、なんらその動きを緩めることはなく、淡々と、粛々と、きぃちゃんを地獄の中引きずり回す水先案内人。
そんな、自らの処刑台とも言えるそこへ、自らの意思で歩いていく。
その姿を人は、健気と呼ぶのだろうか。愚かしいと思うのだろうか。
……浅ましいと思うのだろうか。
「乗るときにだけ手伝ってあげてくれる?」
「……ん? あ、ああ、うん」
突然かけられた言葉に、ふと我に帰る。
……我に帰る?
ずいぶんと真剣に入り込んじゃってるじゃないか、自分。
思わず自嘲が零れる。
「キャラじゃないっていってるのに……」
「ん?」
「……なんでもない」
きぃちゃんをランニングマシーンのベルトの上に載せるため、身体の横から手を入れる。
「ふっ……」
軽くはない……けど、それはおそらく縦横無尽に走った拘束ベルトの重量のせいだろう。
きぃちゃん自体は子どものように軽いに違いない。
そうやって思考を塞ぎながら、そっときぃちゃんをベルトの上へおろす。
首輪から伸びるリードがランニングマシーンに繋がれ、マシンときぃちゃんとの接続が完了する。
「美弥、冷房と鞭、お願いね」
「かしこまりました」
「冷房……と、鞭?」
「冷房は、やっぱり、こんな格好だから。熱が篭るでしょう。動くと特に。鞭は、……あなたならわかるわよね」
「……ま、ね」
正直なところ、いくら冷房を入れたところで、被拘束者のオーバーヒートは避けられないだろう。
だから、だんだんとこの部屋を冷やす冷気も、あくまで気休め。
ただまぁ啓子さんもそれは承知の上だろうから、どちらにしろ長時間の責めではないことは確かだ。
ただ、たとえ責めが1分間だけだったとしても、きぃちゃんにとっては無限の苦しみだろうけど。
この両脇に設置された電動の鞭を見て、余計にそう思う。
「よかったね、きぃちゃん」
それは短時間で責めが終わることに対してなのか、重度のマゾでも満足のいきそうな過酷な責めを味わえることに対してなのか。
きぃちゃんはどちらの意味で聞いたのかな。
「じゃ、貴子、しっかり運動してね」
「きゅうぅ……」
啓子さんの笑顔に、きぃちゃんが応じる。
それは了解?
それとも懇願?
見た目ではわかろうはずもなく。
「スイッチ、オン」
ただ無情に、マシンがきぃちゃんを散歩へと誘う。
▼
これを見て人はどのような感想を抱くのか。
それが人間であれば、トレーニングやダイエットだと思うだろう。
それが犬や猫であれば、気の毒ながら微笑ましく思うだろう。
だがそれが「ヒトイヌ」だった場合、どうだろう?
可哀想?
気持ち悪い?
どちらにせよ良い感情を持たないのではないか。
それが世間一般の代表意見だと考える。
「ヒュ……ヒ……ッ」
「きぃちゃん……」
スピードは速くない。むしろ遅い。
おそらくマシンの出せる限界の低スピードだろう。
それでも、四肢を拘束され、不自由な四足歩行を強制されている今のきぃちゃんでは、歩くのも精一杯の革でできたヒトイヌでは、欠伸が出るようなスピードでも嗚咽が出るくらい辛いのだ。
「少しの間席外すわね。あなたもしばらくしたら来なさい」
「……へ? ええ、ああ、うん……?」
「美弥」
「はい」
そんな光景もいつも通りなのか。
メイドを連れ立って主人が部屋を出る。
おいおい、主人が席外していいのか?
監督責任問われない?
なんて思ってたら、ガラス張りの隣の部屋に移動して椅子に座っただけだった。
メイドは部屋自体を出て行ったけど。
……ま、それだけ信用されてるのかな。どちらの意味でも。
「……きぃちゃん」
見やった黒い塊は、かろうじてその動きを続けている。
「ヒュ……」
……ノシ。
「……ァ、キュ……」
……トスッ。
右前肢をほんの僅か浮かせる。……下ろす。
左後肢をほんの僅か浮かせる。……下ろす。
「……ウゥゥーッ……」
甲高い鳴き声が聞こえる。……鳴り止む。
必至だ。……必死、だ。
動き続けるしかない。
止まってはいけない。
動き続けられる限り。
きぃちゃんはその歩みを止めない。止められない。
その、全くの徒労で、無駄で、何も生み出さない、きぃちゃんを苦しめるためだけの、文字通り苦行。
苛めとか、責めとか、そんな、本人にとって何の益にもならないような虚しい行動を、
強制され、自分をすり減らしながら続けている。
トス……キュキュキュ……ギ、ギギ……トスッ……。
「ィ……キュ、ウ……」
ただ、それらを、きぃちゃん自身が望み、受け入れている。
主人を喜ばせ、また、自身の被虐的な性癖を満たすために。
その理不尽を受け入れている。
トス……キュキュキュ……ギ、ギギ……トスッ……。
「ヒュ……ウ……」
頭がおかしくなりそうだ。
今すぐ背後から覆いかぶさって、きぃちゃんをムチャクチャに抱きしめてあげたい。
どうしてそんなに健気なの?
どうしてそんなに献身的なの?
どうして、そんなに、愛玩欲を刺激するのよ!?
「はああぁ……っ!」
思わず自分自身を抱きしめる。
胸が、脳が、下腹部が、きゅんきゅんと混じり弾け続ける。
感情とは別に膝はガクガクと笑い続ける。
馬鹿みたいだ。
ここでこうして突っ立っている自分が、とてつもない馬鹿みたいだ。
「きぃちゃん……っ」
目は虚ろだ。動きも鈍い。息も荒い。
だけど、どこか、どこか? どこだ?
恍惚? 恐怖? 快楽? 苦痛? ……どれだ?
上気したその顔は……?
…………どっちが?
「あ……!」
見つけた! 見つけた! 見つけた! ひとつ!
”そこ”から視線を弾かれるように外し、横を見る。
椅子に座り、紅茶を飲む主人を見る。
余裕の顔をした、鈍く笑うその顔を、見た。
「あああああああっ……!」
イクつもりもないのにイったのは、これが初めてだった。
生まれたての小鹿のように脚を震わせ、身体をくの字に折り曲げ、暴発の波が駆け巡るのを堪えた。
(……ああ、くるし……)
啓子さんは、確かに、笑っていた。
頷いていた。
(でも……きもちい……)
……他人のもののように思える我ながら白い左人差し指が、真っ黒な上三角ボタンを押すのが見えた。
「っ!? いうぅぅぅ~~~っ!?」
いきなり聞いたことのないような鳴き声が部屋中に響き渡る。
大変だ。そりゃそうだ。ははは。
なんせ急にランニングマシーンのスピードが上がったんだから。
「ヒュッ! ……ヒュッ! ヒュ!」
それまでなんとか保っていた一定のリズムが崩されて慌てて歩行スピードを修正するきぃちゃん。
ギッチギッチと全身に張り巡らされた革という革を軋ませ、トストスとそれなりに上品だった足音はドスドスとなりふり構わない音に変わった。
おそらくこれがきぃちゃんの”全速”だろう。
だから、長く続くわけなんかない。
1500mを1500m用のペース配分で走っていたのに、いきなり100m用の全速力を要求されてるんだもの。
「きゃんっ!?」
だからって、甘えは絶対許されない。
今みたいに、辛さから少し頭を下げただけで、口枷に繋がれたポールが引っ張られて、反対側にある先端が、容赦なくお尻の穴を抉る。
「きゅ……っ」
慌てて顔を上げるけど、動揺した分どうしても足並みが乱れる。
きぃちゃんの歩行が遅れ、少し後ろに後退したところで、首輪とランニングマシーンをつなぐリードが、ピンと張った。
「あ……」
パシーーーン!!
「きゅうううぅぅ~~~っっ!?!?」
IF条件を満たしたレバーから発せられる命令により、左右に配置された一本鞭が容赦なくきぃちゃんのお尻を穿つ。
その威力は、調教用の生易しいそれじゃない。
これは本当に懲罰用、だ。
……ああ、だからお尻周りだけベルトが巻かれてないのか。
痛いだろうな。
「ひゅぐっ……ひゅぐ……!」
ぐちゃぐちゃだ。
涙やら鼻水やら、恥も外聞も全部垂れ流して、それでも次なる鞭を恐れて、必死で体勢を立て直してる。
もう走れない、もう走りたくないとどれだけ思っても、絶対に許してもらえない、そんな過酷な環境の中で。
傍目には、美しい犬の姿勢を保ったまま。
内には、無数の苦痛と疲労と無心を抱えたまま。
きぃちゃんは、歩き続ける
「ひ……くぅ……っ!」
でも、ペースは維持できなくて。
ピシャンッ!!
「っ~~~!!」
遅れるたびに鞭がしなって。
「キュ……ッ……ウウウ……!」
家畜のように追い立てられながら。
それでもきぃちゃんは歩き続けなければいけない。
まるで牢獄の様なシステムの檻の中で、ただひたすらに四肢を動かし、涙を流し、体力と精神をすり減らしていく。
「……もう少しの間、頑張ってね」
そんなきぃちゃんを突き放すように、言葉を紡ぐ。
いい加減寒くなってきた部屋から逃げ出すように、部屋を出る。
パシーーーン!!
去り際にまた鞭の音が聞こえたけれど。
ガチャ……。
鳴き声が聞こえる前にドアが世界を隔離した。
▼
寒いのに、熱気の籠ったような部屋から抜け出すと、すぅっと頭の中がクリアになっていく感覚を得る。
とんでもないことをしてる。
その実感が薄れるわけじゃないけど。
「どうぞ」
「……どうも」
……なんだかのどが痛い。
すぐ隣のこの部屋は、きぃちゃんが歩行練習に勤しむ部屋を観察できる。
そこにはご丁寧にテーブルとイスが配置されていて、そんなくつろぎスペースに鎮座した館の主に手招きで誘いを受ける。
カチャ……。
「……あ、ありがと」
「いえ」
目の前に湯気の立つ紅茶が置かれる。
無愛想なメイドに似ても似つかないほど温かそうだ。
「あ……」
そういえばさっき出されたお茶は口をつけてなかった。
淹れなおしてくれたのだろうか。
……前言撤回しておくか。
「これもどうぞ」
「あ、どうも…………クッキー?」
「形は悪いけど、味はいいのよ。美弥特製」
テーブルの真ん中、白いお皿の上の何か。
……なんだあれ。
形が悪いなんてもんじゃない。色もおかしい。
普通クッキーって緑とか青とかしてる?
どう見ても悪意あるでしょうよ、これ。
ほらこれなんかどうみてもモル○ルのような……あ、美味い。
「ぐ……」
「ふふ」
調子狂う。
ここにいたら、忘れてしまいそうだ。
このすぐ隣では、いまだにきぃちゃんは歩いてる。
主人が紅茶を飲んでいる間も、鞭を受けて。
主人がクッキーを齧っている間も、泣き叫びながら不自由な身体で肢を動かしているんだ。
それをすくう人間はいなくても。
「それにしても」
「……?」
「あなたも、けっこう鬼畜よね」
「……そう?」
あのときはどうかしてた。
……なんて、言うつもりはないけど。
元凶のあなたが言うか、それを。
「ま、あの子も喜んでたみたいだし」
「……どこをどうみたらその結論に?」
「あら、見なくてもわかるわ。見ればなおさら」
軋む身体、咽び泣く顔。
どこにも喜ぶとイコールで繋がるところはない気がする。
……残りの精神論は、部外者では分からない。
「さて」
音もなく、主人が立ち上がる。
「少しは疑問が解けたかしら?」
こちらを見て微笑んだその表情からは、どんな感情も読み取れなかった。
だから、その言葉を額面通り受け止めて、そして、無言で返した。
「ふふ。……美弥」
「はい」
「スピード、もう一段階上げて。そしたら3分後に回収」
「了解しました」
……だれが鬼畜だって?
▼
やがて紅茶を一杯飲み干し、わけのわからない形をした悪魔クッキーを2,3枚消化した後、先にトレーニングルームに戻った啓子さん達を追うように部屋を移動した。
心なしかドアノブを握る手が湿っていた気がする。
……あくまで気がするだけだ。そのはずだ。
「……ふぅ」
その部屋は、寒い。
とんでもなく酷い目に遭っている哀れなヒトイヌへの、せめてもの気づかいだ……と思っておこう。
当の革わんこのほうを見る。
ランニングマシーンは止められていて、メイドの美弥が装置をガチャガチャ外しているところだった。
その間きぃちゃんは棒立ちのまま、石像のように動かない。
というより多分動けないんだろう。
よく立ったままでいられるなと感心する。
チャリ……。
ランニングマシーンときぃちゃんとを繋ぐリードが外される。
続けて、きぃちゃんを家畜のように追い立てていた鞭も、外される。
ラバーに包まれてわからないけど、あのお尻はいったいどうなってるんだろう。
さっき廊下で見た時は色白できれいなお尻だったけど。
きっと、お猿さんのように……ってのは例え方が古いか。
トスン。
すべての装置が外されて、美弥の手によって数十分ぶりに”地上”へと帰還したきぃちゃん。
あらためて見ると、やはり……異常だ。
人間が、こんなにコンパクトに、犬のような形に、押し込められている。
人としての尊厳など、持ちようがない姿。
主への絶対服従を余儀なくされる、無力な姿。
「さぁきぃちゃん。こっちへおいで」
……とんでもないことを言い出すな。
たった今地獄の責め苦を味わい尽くし、立っているのも精一杯の状況なのは、誰の目にも明らか。
今すぐにでも駆け寄って、抱きしめて、労ってやりたい、そんなきぃちゃんに対し、まだ自分のところまで歩いて来いと言うのか。
「……だから離れて見てたのか」
どうでもいい独り言は、案の定独り言になった。
「ほら、おいで」
パンパン、と呼び立てるように啓子さんが手をたたく。
すると、ゆっくりと、本当にゆっくりと、きぃちゃんがその肢を前に進めた。
……健気だなぁ。
ギ……トスン……ギチ……トスッ……。
そんな気の抜けた事を考える間にも、ゆっくり、ゆっくり。
ギ……トスン……ギチ……トスッ……。
ラバーをねじり、身体を軋ませ、きぃちゃんは歩く。
ギ……トスン……ギチ……トスッ……。
顔はとうにぐちゃぐちゃだ。
身体中がプルプルと震えているのがわかる。
ギ……トスン……ギチ……トスッ……。
でも、視線はまっすぐに、啓子さんのもとへ。
きっとほかのものは何も見えていない。
ただまっすぐに。
そこがようやくみつけたオアシスであるかのように。
きぃちゃんは歩き、歩き、歩き。
……そして。
トス……ッ。
啓子さんの左脚に、頭を預けた。
そして、愛おしそうに、じゃれつくように、一回、二回、と、頬を擦りつけた。
「頑張ったよ。褒めて?」と言わんばかりに、上目で主を見ながら、「きゅうう」と鳴いた。
……駄目だ、可愛すぎる。
隣で見ているだけで、いろんなものを吹き出してしまいそうだ。
思わず鼻を押さえる観客を尻目に、啓子さんはきぃちゃんと視線を合わせるようにしゃがみ、そして、にっこりと微笑んだ。
「よくできました」
そう言って、頭を撫で、頬を撫で、目尻を拭い、小さな身体をすっぽりと覆うように抱きしめる啓子さん。
本当に可愛がっているのだとわかる、優しく、丁寧に、だけど情熱的な、接し方だった。
その部分だけは、本当に羨ましくなるくらいの。
泣きたくなるくらい屈辱的な拘束の中、きぃちゃんの表情はとても嬉しそうで、ああきっとこの時のためにきぃちゃんはつらい責めも頑張って受けているんだな、いや、”生きている”んだな、と素直に思えた。
そうやって完全に犬の根性を叩き込まれたきぃちゃんを、否定する人間はこの館のどこにもいない。
それは、きぃちゃん自身が望んだ世界だったか。
「ぁ……おふっ! が、はっ……ごほっ……ごほっ……!!」
ラバーマスクが取られ、口枷が取られ、顔が自由になったきぃちゃんは、しばらく荒い息を繰り返していた。
やがてそれも治まり始め、落ち着きを取り戻した頃を見計らい、声をかけた。
「きぃちゃん……」
啓子さんの腕の中、顔の拘束とポールだけ外され、いまだ犬の格好のきぃちゃん。
犬が抱っこされているような姿勢のまま、声のするこちらを向いて、少し困ったような、でも柔らかな、そんな微笑みを見せた。
「今日、は……ちょ、っと、……激、しかっ……た、ね」
「……、そう?」
こういう娘なのだ。
今までの苦行など、どこ吹く風だ。
さすがに理解が追いついた。
この娘は立派に苛められて、立派に快楽を得ているのだ。
なんと困ったわんこなのだろう。
掠れた声で非日常を日常だと言い切る彼女の前で、動揺を隠すのに必死な自分の声が滑稽に響く。
「……でも、気持ちよかった?」
自分を保つのに精いっぱいのその言葉は、それでいて間抜け極まりない。
分かってる。顔を見れば。
でも聞きたい。
ほら、そんな気恥ずかしそうな、困ったような、一所懸命な表情を作るから。
ああもう。
……ああ、もう!
「………………ぅん」
卑怯なくらい可愛い表情。
生まれて初めて”ブッ”という音とともに鼻血を出した。
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